コールセンター受託の商談で、その場で何を聞けば持ち帰らずに構築へ進めるか。既存5社(ケイアイ・TOKO・ワンダーライフ・ノーリツ・つくば商事)のKintoneと、実際に動いているスクリプトを読み比べ、社ごとに違っていた箇所だけを質問に落としたものです。
質問は3段に分かれています。A(12問)が埋まれば、その週のうちに動くものが出せます。B は見積と体制を出すため、C は稼働前に埋めれば足ります。商談の場では A だけを取りに行き、B・C は後日ご記入いただく紙として置いてくるのが現実的です。
A の各問には既定値があります。聞けなかった項目は既定値で組んでデモを出し、違えばその場で直します。止まるより早いです。
最初の3問(受付時間・電話番号・対応範囲)は、相手が必ず最初に聞いてくる3つでもあります。ここに即答できないと、資料の中身に入る前に会話が止まります。
「いまは、夜や休日のお電話はどうされていますか。」
「御社の代表番号を時間外だけ転送していただく形と、こちらで新しい番号をご用意する形と、どちらがよろしいですか。」
「一次受付だけでよろしいですか。業者の手配や、現場対応、ご請求まで含めてお任せいただけますか。」
「夜中に水漏れの連絡が入ったとき、業者の手配までこちらでやってよろしいですか。それとも御社の指定業者へつなぐ形ですか。」
「夜中でもすぐ動くべきものは、どんな内容でしょうか。逆に、翌朝でよいものは。」
「入居者さまからが中心ですか。オーナーさまや、近隣の方からもありますか。」
「駆けつけサービスにご加入の方と、そうでない方で、ご対応を変えていますか。」
「物件の一覧をお持ちでしたら、Excelでも構いませんのでいただけますか。棟数はどのくらいですか。」
「お電話をお受けした時点でメールを差し上げるのと、対応が終わってからお送りするのと、どちらがよろしいですか。夜中でもお送りしてよいですか。宛先は何名さまですか。」
「いま何件動いているか、ご自身で開いて確認できる画面をお出しできます。必要ですか。何名さまがご覧になりますか。」
「作業前後の写真は必要ですか。報告書の様式はお決まりのものがありますか。あと、業者の作業が終わった時点で完了でしょうか、それとも御社へのご報告が済んだ時点でしょうか。」
「入居者さまや物件の情報は、どちらで管理されていますか。そちらにも記録を残す必要はありますか。」
下は答えを差し替えるだけで組み上がります。ゼロから作るのではなく、既にあるものを差し替えます。
| 出せるもの | 何を差し替えるか | 下敷きにする既存のもの | 目安 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ台帳(Kintone) | 会社名/選択肢の中身/使わないブロックを非表示に | ケイアイ・TOKOの構成(グループの並びが既に同じ形) | 1〜2時間 |
| 一覧ビュー5本 | 絞り込み条件と列 | 全件/未完了/クライアント向け/集計用/請求対象 | 1時間 |
| 受付フォーム | 会社名・項目・宛先 | 自社フォーム群(FormBridgeから移行済み) | 半日 |
| 受付通知メール | 宛先・送るタイミング・文面 | 脱YOOM通知5種(自社ドメインから直送) | 半日 |
| 管理会社専用ビュー | 会社名・見せる列・ログイン | ケイアイ様向けビューア/つくば商事様向け夜間ビューア | 1日 |
| 月次レポートの見本 | 会社名とダミー件数 | ケイアイ受付レポート/プロコール定例会レポート | 半日 |
※ 商談用のデモはダミーデータで作ります。先方の実データは、契約と個人情報の取り扱いが決まってから入れます。
Aが取れていないとこの日程は成立しません。とくに3番(どこまでやるか)と4番(誰が業者を手配するか)が決まらないと、台帳の形そのものが決まりません。
当初この資料は「項目名がバラバラだから横断集計ができない」という前提で書いていました。実機で確認したところ、これは誤りでした。
スクリプトやレポートがKintoneから値を取るときに使うのは、画面に出ている日本語の名前ではなく、その裏にある「フィールドコード」です。実際に読み出した受付番号のコードがこちらです。
| アプリ | 画面に出ている名前 | 実際のフィールドコード |
|---|---|---|
| #548 ケイアイ | 受付番号(ケイアイ用) | 文字列__1行__11 |
| #562 TOKO | 受付番号 | 文字列__1行_受付番号 |
| #543 ワンダーライフ | 受付番号 | 文字列__1行__5 |
| #315 ノーリツ | @受付番号 | 文字列__1行__0 |
| #21 受付管理 | 受付番号 | 文字列__1行__8 |
| #584 駆け付け依頼 | 受付番号 | 文字列__1行_ |
| #486 依頼書 | 受付番号 | 受付番号 |
つまり、画面の名前をそろえても横断集計はできるようになりませんし、名前を変えても何も壊れません。直すべきはコードのほうでした。Kintoneは項目を作るときにコードを自動で振るので、そのまま作ると 文字列__1行__11 のような値になります。#486 と #562 だけが、作った人が手で直しています。
新規はここを最初に決めます。受付番号は uketsuke_no、物件名は bukken_name、号室は room_no、通知先は notify_to / notify_cc。画面に出る日本語名は、その会社の呼び方に合わせて自由に変えて構いません。既存5社のコードは触りません(動いているスクリプトが直接見ているため)。読み替えの対応表を1枚だけ作り、横断集計はそこを通します。
| 確認すること | 聞き方 | 効いてくる場所 |
|---|---|---|
| 月あたりの想定件数 | 「年間でどのくらいのお問い合わせがありますか。夜間はそのうち何割くらいですか。」 | 体制、当社側の受電キャパシティ |
| 対応の範囲 | 「共用部のトラブルも含みますか。エアコンや給湯器はどこまで。」 | 一次対応でどこまで案内できるか。範囲外の断り方 |
| 電話で終わらせてよい範囲 | 「ご案内だけで済ませてよいのはどこまでですか。」 | 電話で完結した割合(月次レポートの主要指標) |
| 費用が発生する修繕の判断 | 「その場で直せず部品交換が必要だった場合、どこまでお任せいただけますか。」 | 見積のやりとりを付けるか。入居者の過失かを誰が判断するかも同時に確認 |
| エスカレーション先 | 「判断に迷ったとき、夜中でもご連絡してよいご担当者はいらっしゃいますか。」 | 夜間の判断ルート。ここが無いと現場が止まります |
| 個人情報の取り扱い | 「入居者さまの情報をお預かりする形になります。委託の覚書はございますか。」 | 契約書、当社の取り扱い規程 |
| 請求先と締め | 「ご請求書のお宛名と送付先、締め日をお伺いできますか。」 | 請求の自動化をどこまで組むか |
| いつから始めたいか | 「ご希望の開始時期はいつごろですか。」 | 回線の切替、物件マスタの投入、スクリプト作成の日程 |
既存5社を読み比べた結果、骨格はほぼ同じ形に収束していました。新規は「共通コア」+「使うブロックだけ」+「その社だけの項目は1か所に隔離」の3階建てにします。
| 階 | ブロック | 中身 | どこから持ってくるか |
|---|---|---|---|
| 1階 共通コア (全社必須) | 受付 | 受付番号/受付日時/開始時刻/終了時刻/受付担当者/入電者/入電者区分/件名/問い合わせ区分/緊急度/問い合わせ内容/初期対応・案内 | ケイアイ+ノーリツ(緊急度) |
| 物件 | 物件名/号室/物件住所/郵便番号/物件メモ | ケイアイ・TOKO | |
| 相手 | 契約者名/契約者連絡先/入居者/入居者連絡先/メールアドレス/緊急連絡先 | TOKO | |
| やりとり | 入電・発信履歴(明細)/入力テンプレート/ステータス/クライアント確認状況/通知先TO/通知先CC | ケイアイ・TOKO | |
| 2階 使う社だけ (丸ごとON/OFF) | 業者手配 | 手配の有無/指定業者/夜間休日手配先/訪問希望日時/手配時間帯 | ケイアイ |
| 作業結果 | 専門スタッフ/訪問日/作業報告/作業報告日/作業写真(明細)/改善状況/入居者過失/不具合カテゴリー | ケイアイ・TOKO・#486 | |
| 取次 | 該当ショップ/責任者/取次先アドレス/取次票 | ノーリツ | |
| 請求 | 請求内訳(明細)/合計/請求書/請求先宛名/支払期限/入金確認日 | ケイアイ | |
| 社内品質 | Wチェック状況/Wチェックメモ ※クライアントには出さない | ケイアイ | |
| 3階 その社だけ | クライアント固有 | 建物コード/管轄支店/設備情報(メーカー・型式)/所有区分など。1階・2階には混ぜない。 | 各社の既存項目を移設 |
1階に「開始時刻・終了時刻・受付担当者・緊急度」を入れたのは、反証で最も多く指摘された点です。24時間受けると 23:55入電・翌0:20完了 が月末に必ず出るため、受付日時1本では「何月の件として請求するか」も「1件に何分かかったか」も出せません。
作業写真1〜15の連番は、新規では明細(サブテーブル)に置き換えます。ただし一覧画面には明細の中身を出せないので、「作業写真あり」のチェックを1つだけ残します。既存の1〜15は作り替えません。
反証で全パーツに共通して出た指摘が「商談当日に見せる実物がゼロ」でした。いまの成果物はすべて受注後に作るもので、既存クライアントの画面は個人情報が載るので見せられません。営業は口頭で説明するしかない状態です。
「サンプル管理株式会社」という架空の管理会社を1社つくり、フォームに1件入れる → 台帳に載る → 通知メールが届く → 専用ビューで見えるまでを、その場で実演できるようにします。ここが出来ていれば、商談当日にできることが「口で説明する」から「触っていただく」に変わります。
次点は、月次レポートに載せる数字の見直しです。いま候補に挙がっている指標(受付件数・手配率・訪問日聴取率)はすべて当社がどれだけ働いたかの数字で、管理会社の関心に答えていません。「御社に転送せずに済んだ件数」「夜中に起こされずに済んだ件数」に置き換える必要があります。
オペレータ・管理者・クライアントの画面案 → カスタマーセンター3画面