新規案件 商談ヒアリング

コールセンター受託の商談で、その場で何を聞けば持ち帰らずに構築へ進めるか。既存5社(ケイアイ・TOKO・ワンダーライフ・ノーリツ・つくば商事)のKintoneと、実際に動いているスクリプトを読み比べ、社ごとに違っていた箇所だけを質問に落としたものです。

2026年9月9日/ZENBU株式会社 ソリューション事業部/社内用

この紙の使い方

質問は3段に分かれています。A(12問)が埋まれば、その週のうちに動くものが出せます。B は見積と体制を出すため、C は稼働前に埋めれば足ります。商談の場では A だけを取りに行き、B・C は後日ご記入いただく紙として置いてくるのが現実的です。
A の各問には既定値があります。聞けなかった項目は既定値で組んでデモを出し、違えばその場で直します。止まるより早いです。

Aその場で聞く12問

最初の3問(受付時間・電話番号・対応範囲)は、相手が必ず最初に聞いてくる3つでもあります。ここに即答できないと、資料の中身に入る前に会話が止まります。

1受付は、何時から何時までですか。

「いまは、夜や休日のお電話はどうされていますか。」

24時間365日夜間・休日のみ(18:00〜翌9:00)平日日中のみ時間外は留守電
決まるもの
時間外の扱い。画面の区切りが「暦日」ではなく「当直帯」になるかどうかもここで決まります。24時間なら、23:55入電・翌0:20完了という件が月末に必ず出るため、受付時刻と完了時刻を別々に持つ必要があります。
既定値
夜間・休日のみ
2お電話は、どの番号で受けますか。

「御社の代表番号を時間外だけ転送していただく形と、こちらで新しい番号をご用意する形と、どちらがよろしいですか。」

代表番号を時間外だけ転送専用番号を新規で用意入居者へ配る番号を差し替える未定
決まるもの
回線の設計と、切替の段取り。資料より先に聞かれる質問です。番号を差し替える場合は、入居者への周知(ステッカー・書面)の期間が開始日を決めます。
既定値
代表番号を時間外だけ転送
3どこまでやってほしいですか。

「一次受付だけでよろしいですか。業者の手配や、現場対応、ご請求まで含めてお任せいただけますか。」

一次受付だけ受付+業者手配受付+手配+現場請求まで
決まるもの
この案件の性格そのもの。台帳の形も、報告書が要るかも、請求が発生するかも全部ここで変わります。既存ではノーリツが取次のみ、ケイアイが手配まで、と両端が実在します。
既定値
受付+業者手配
4現地に行く業者は、どちらが手配しますか。

「夜中に水漏れの連絡が入ったとき、業者の手配までこちらでやってよろしいですか。それとも御社の指定業者へつなぐ形ですか。」

ZENBUが手配する御社の指定業者へつなぐ取次のみ(手配しない)案件によって両方
決まるもの
手配の選択肢と、業者リストの持ち方。指定業者がある場合は夜間・休日に出てくれる業者かどうかを必ず確認します。
既定値
案件によって両方(3択で持てば後からどちらにも寄せられる)
5「急ぎ」と「急ぎでない」を、どこで分けますか。

「夜中でもすぐ動くべきものは、どんな内容でしょうか。逆に、翌朝でよいものは。」

水漏れ・鍵・ガス・停電は即時設備の不具合は翌営業日金額の判断が要るものは連絡お任せ
決まるもの
緊急度の判定基準。これが決まっていないと、夜間のオペレータが毎回誰かに聞くことになります。既存ではノーリツだけが緊急度の項目を持っていて、他社は文章の中に埋もれています。
既定値
水漏れ・鍵・ガス・停電・エレベーター閉じ込めは即時、それ以外は翌営業日
6電話をかけてくるのは、どなたですか。

「入居者さまからが中心ですか。オーナーさまや、近隣の方からもありますか。」

入居者オーナー御社のご担当者近隣住民仲介店その他
決まるもの
入電者区分の選択肢。ケイアイは5区分、TOKO は入電者と契約者を別項目で持っています。
既定値
入居者/オーナー/御社ご担当者/近隣住民/その他
7費用を払っている入居者と、そうでない入居者を分けますか。

「駆けつけサービスにご加入の方と、そうでない方で、ご対応を変えていますか。」

分ける(会員/非会員)分けない(全戸一律)
決まるもの
対応範囲と費用負担の分岐。繁忙時にいちばん間違えると事故になる情報なので、画面では色ではなく太字で常時出します。
既定値
分ける
8物件のリストはありますか。形式は。

「物件の一覧をお持ちでしたら、Excelでも構いませんのでいただけますか。棟数はどのくらいですか。」

Excel/CSVでもらえる基幹システムにある紙・PDFのみない
決まるもの
物件マスタを作るか、受付のたびに手入力にするか。飛ばすと稼働後に物件名の表記ゆれで集計ができなくなります(既存アプリで実際に起きています)。棟数はデモのデータ量にも効きます。
既定値
Excelでいただく前提。無ければ手入力+あとからマスタ化
9受付が入ったら、どなたに、いつお知らせしますか。

「お電話をお受けした時点でメールを差し上げるのと、対応が終わってからお送りするのと、どちらがよろしいですか。夜中でもお送りしてよいですか。宛先は何名さまですか。」

受付した時点業者の訪問が決まった時点作業が完了した時点翌朝まとめて
決まるもの
通知の設計。「夜中に鳴らしてよいか」は必ず確認します。宛先は「TO 1つ・CC 複数」の形に統一します。件名は便ごとに変えます(同じ件名で3通届くと二重送信に見えます)。
既定値
受付時+完了時の2回/夜間も送る/TO 1・CC 複数
10ご担当者は、状況をご自分で見たいですか。

「いま何件動いているか、ご自身で開いて確認できる画面をお出しできます。必要ですか。何名さまがご覧になりますか。」

見たい(専用画面を出す)メール報告だけでよい月次のまとめだけでよい
決まるもの
管理会社専用ビューを出すか。見せないものは決まっています(協力店の名前・当社の原価・社内メモ・他社の案件)。
既定値
出す(ログイン付き・人数分のアカウント)
11作業のご報告は、何があればよろしいですか。そして「終わった」とはどの時点ですか。

「作業前後の写真は必要ですか。報告書の様式はお決まりのものがありますか。あと、業者の作業が終わった時点で完了でしょうか、それとも御社へのご報告が済んだ時点でしょうか。」

写真が要る報告書PDFが要るメール本文だけでよい御社指定の様式がある
決まるもの
報告のフォーマットと、「完了」の定義。ここが曖昧だと、月次レポートの完了率が当社とクライアントで食い違います。指定様式がある場合はその紙を商談の場で1枚もらうのが最短です。
既定値
写真+当社様式の報告書PDF/完了=御社へのご報告が済んだ時点
12いまお使いのシステムはありますか。そちらにも入力が要りますか。

「入居者さまや物件の情報は、どちらで管理されていますか。そちらにも記録を残す必要はありますか。」

基幹システムがあるクラウドサービスを使っているExcel特にない
決まるもの
二重入力が発生するかどうか。「そちらにも入力が要る」と言われた瞬間、工数が跳ねます。既存案件では、先方のシステムへ転記する作業が毎日発生しているものがあり、そこは自動化で吸収しています。逆に、ここに答えられると商談で強いです。
既定値
連携なし(当社側だけで完結)

12問が埋まると、何が出せるか

下は答えを差し替えるだけで組み上がります。ゼロから作るのではなく、既にあるものを差し替えます。

出せるもの何を差し替えるか下敷きにする既存のもの目安
問い合わせ台帳(Kintone)会社名/選択肢の中身/使わないブロックを非表示にケイアイ・TOKOの構成(グループの並びが既に同じ形)1〜2時間
一覧ビュー5本絞り込み条件と列全件/未完了/クライアント向け/集計用/請求対象1時間
受付フォーム会社名・項目・宛先自社フォーム群(FormBridgeから移行済み)半日
受付通知メール宛先・送るタイミング・文面脱YOOM通知5種(自社ドメインから直送)半日
管理会社専用ビュー会社名・見せる列・ログインケイアイ様向けビューア/つくば商事様向け夜間ビューア1日
月次レポートの見本会社名とダミー件数ケイアイ受付レポート/プロコール定例会レポート半日

※ 商談用のデモはダミーデータで作ります。先方の実データは、契約と個人情報の取り扱いが決まってから入れます。

商談から動くものを見せるまで

商談当日
Aの12問を聞く。物件リストと、指定の報告書様式があれば1枚もらう。その場では「架空の管理会社」で作ってあるデモを触っていただく。
翌営業日
問い合わせ台帳+一覧5本+受付フォームを、その会社名で立てる。画面キャプチャを添えて送る。
3営業日
受付通知メールと管理会社専用ビューを足し、ログインして触っていただける状態にする。
1週間
月次レポートの見本まで含めた提案書。ここまでで「動くもの」は全部そろいます。

Aが取れていないとこの日程は成立しません。とくに3番(どこまでやるか)と4番(誰が業者を手配するか)が決まらないと、台帳の形そのものが決まりません。

訂正:そろえるのは「画面の名前」ではありません

当初この資料は「項目名がバラバラだから横断集計ができない」という前提で書いていました。実機で確認したところ、これは誤りでした。

スクリプトやレポートがKintoneから値を取るときに使うのは、画面に出ている日本語の名前ではなく、その裏にある「フィールドコード」です。実際に読み出した受付番号のコードがこちらです。

アプリ画面に出ている名前実際のフィールドコード
#548 ケイアイ受付番号(ケイアイ用)文字列__1行__11
#562 TOKO受付番号文字列__1行_受付番号
#543 ワンダーライフ受付番号文字列__1行__5
#315 ノーリツ@受付番号文字列__1行__0
#21 受付管理受付番号文字列__1行__8
#584 駆け付け依頼受付番号文字列__1行_
#486 依頼書受付番号受付番号

つまり、画面の名前をそろえても横断集計はできるようになりませんし、名前を変えても何も壊れません。直すべきはコードのほうでした。Kintoneは項目を作るときにコードを自動で振るので、そのまま作ると 文字列__1行__11 のような値になります。#486 と #562 だけが、作った人が手で直しています。

新規はここを最初に決めます。受付番号は uketsuke_no、物件名は bukken_name、号室は room_no、通知先は notify_to / notify_cc。画面に出る日本語名は、その会社の呼び方に合わせて自由に変えて構いません。既存5社のコードは触りません(動いているスクリプトが直接見ているため)。読み替えの対応表を1枚だけ作り、横断集計はそこを通します。

B契約前に埋める(見積と体制に効く)

確認すること聞き方効いてくる場所
月あたりの想定件数「年間でどのくらいのお問い合わせがありますか。夜間はそのうち何割くらいですか。」体制、当社側の受電キャパシティ
対応の範囲「共用部のトラブルも含みますか。エアコンや給湯器はどこまで。」一次対応でどこまで案内できるか。範囲外の断り方
電話で終わらせてよい範囲「ご案内だけで済ませてよいのはどこまでですか。」電話で完結した割合(月次レポートの主要指標)
費用が発生する修繕の判断「その場で直せず部品交換が必要だった場合、どこまでお任せいただけますか。」見積のやりとりを付けるか。入居者の過失かを誰が判断するかも同時に確認
エスカレーション先「判断に迷ったとき、夜中でもご連絡してよいご担当者はいらっしゃいますか。」夜間の判断ルート。ここが無いと現場が止まります
個人情報の取り扱い「入居者さまの情報をお預かりする形になります。委託の覚書はございますか。」契約書、当社の取り扱い規程
請求先と締め「ご請求書のお宛名と送付先、締め日をお伺いできますか。」請求の自動化をどこまで組むか
いつから始めたいか「ご希望の開始時期はいつごろですか。」回線の切替、物件マスタの投入、スクリプト作成の日程

C稼働前に埋める

ZENBU標準の問い合わせ台帳(3階建て)

既存5社を読み比べた結果、骨格はほぼ同じ形に収束していました。新規は「共通コア」+「使うブロックだけ」+「その社だけの項目は1か所に隔離」の3階建てにします。

ブロック中身どこから持ってくるか
1階
共通コア
(全社必須)
受付受付番号/受付日時/開始時刻/終了時刻/受付担当者/入電者/入電者区分/件名/問い合わせ区分/緊急度/問い合わせ内容/初期対応・案内ケイアイ+ノーリツ(緊急度)
物件物件名/号室/物件住所/郵便番号/物件メモケイアイ・TOKO
相手契約者名/契約者連絡先/入居者/入居者連絡先/メールアドレス/緊急連絡先TOKO
やりとり入電・発信履歴(明細)/入力テンプレート/ステータス/クライアント確認状況/通知先TO/通知先CCケイアイ・TOKO
2階
使う社だけ
(丸ごとON/OFF)
業者手配手配の有無/指定業者/夜間休日手配先/訪問希望日時/手配時間帯ケイアイ
作業結果専門スタッフ/訪問日/作業報告/作業報告日/作業写真(明細)/改善状況/入居者過失/不具合カテゴリーケイアイ・TOKO・#486
取次該当ショップ/責任者/取次先アドレス/取次票ノーリツ
請求請求内訳(明細)/合計/請求書/請求先宛名/支払期限/入金確認日ケイアイ
社内品質Wチェック状況/Wチェックメモ ※クライアントには出さないケイアイ
3階
その社だけ
クライアント固有建物コード/管轄支店/設備情報(メーカー・型式)/所有区分など。1階・2階には混ぜない。各社の既存項目を移設

1階に「開始時刻・終了時刻・受付担当者・緊急度」を入れたのは、反証で最も多く指摘された点です。24時間受けると 23:55入電・翌0:20完了 が月末に必ず出るため、受付日時1本では「何月の件として請求するか」も「1件に何分かかったか」も出せません。

作業写真1〜15の連番は、新規では明細(サブテーブル)に置き換えます。ただし一覧画面には明細の中身を出せないので、「作業写真あり」のチェックを1つだけ残します。既存の1〜15は作り替えません。

最初に着手すべき1つ

架空の管理会社で、デモ環境を1式つくる

反証で全パーツに共通して出た指摘が「商談当日に見せる実物がゼロ」でした。いまの成果物はすべて受注後に作るもので、既存クライアントの画面は個人情報が載るので見せられません。営業は口頭で説明するしかない状態です。

「サンプル管理株式会社」という架空の管理会社を1社つくり、フォームに1件入れる → 台帳に載る → 通知メールが届く → 専用ビューで見えるまでを、その場で実演できるようにします。ここが出来ていれば、商談当日にできることが「口で説明する」から「触っていただく」に変わります。

次点は、月次レポートに載せる数字の見直しです。いま候補に挙がっている指標(受付件数・手配率・訪問日聴取率)はすべて当社がどれだけ働いたかの数字で、管理会社の関心に答えていません。「御社に転送せずに済んだ件数」「夜中に起こされずに済んだ件数」に置き換える必要があります。

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